オガクズ料理

ボウルとオガクズと板に釘

オガクズ料理

 

 まずオガクズで出汁を取ってください。はいちょっと多めに入れてね。それから釘の刺さった樫の木を煮込みます。この釘だいじですよー。こんなふうに曲がってる釘が良いですね。ちょっと錆びてるのも、味に深みが出ますからね。
 それから子供が書き損じた習字紙を入れましょう。はい、紅い墨で添削してある方? それは後にします。最初からそれだとえぐみが出ますから。最初は子供が書いただけのが良いです。はい。グイグイ書いてあるのが良いですよー。何度も何度も上から重ね書きしてるようなのが。それですね。そういうのが良いです。はい湯に入れて浮き上がって来たらザルですくいます。はいサッとすくってくださいサッと。あーダメダメダメ斜めにすると墨が残るから斜めにしない斜めにしない。そのままサッと、はい良いです。上手いです。初めてにしては上出来ですよー。普通はなかなか、はいおじょうずおじょうず。
 でグツグツ言うようになってきたらお湯に声をかけます。お湯に声をかけてくださ~い。
「お元気ですかァ」って言ってください。「お元気ですかァ」って。大きな声で。もっともっと大きな声で。顔を近づけて言ってください。熱いのは我慢します。ぐっと我慢します。大きな口を開けて。もっと大きな口を開けて息をいっぱいに吸い込む。はい吸い込んでー。熱くない熱くない。熱くないですよー。熱くないと思えば熱くない。もっともっと大きな声で。もっと大きな声で。それは大き過ぎます。今のは大き過ぎます。お湯がびっくりしちゃいますから。考えればわかるでしょ。過ぎたるは及ばざるっていう・・・はい、はいはい今ので良いです。そのくらいで良いです。そのくらいにしときましょう。
 次にセメントを流し込みます。これで固めますから。鉄筋? 鉄筋は要りません。それから金だらいを落としましょう。上に吊ってある金だらいを落としてください。はいどんどんどんどん落としてください。いゃーうるさいうるさい。うるさいです。もういいです。いいかげんにしましょう。もういいです。はいもういいです。私がいいですと言ったらやめるのね。やめなさい。子供じゃないんだから。いいかげんにしてください。
 ではでは、ほどよく煮えたところでアクを取ったら小鉢に移します。いいですよーこっちに前もって煮込んだのがありますから、これを使いましょう。二時間煮込むとこうなります。はいはいドロドロしてますね。でも触ると固いです。カチカチです。思いっきり砕いて。はい。小鉢に移してください。砕いてはい。
 なんだ力無いねー。思い切り砕く。はいもう一回。砕いて。ガツンと。ガツンと行ってください。力無いなー。思い切り行ってください親のかたきだと思って。親のかたきですよー容赦しないで。はい親のかたきガツンと。はいはいもうひとガツン。ガツン。はいはい良いですね。おおむね良くできました。美味しそうですね。とっても美味しそうです。
 はいとっても綺麗にできましたのでね。みなさんで召し上がってください。今日のお料理は、どこのご家庭でも簡単にすぐ作れるオガクズ料理でした。
 レシピは下に出ていますのでね。ぜひぜひお試しください。

リビングTVの料理番組

 

2 COMMENTS

桜田丸彦

オガクズ料理の解説。ほら、昔、淀川長治っていう映画評論家がいたよね。あのサヨナラおじさんの声色を真似た小松政夫の声、あの声が、オカクズ料理を解説しているように聞こえてね。それがとっても懐かしいやら好もしいやら。ああ、まだ耳の底に残っている。ということですが、さて、この料理、誰に勧めればいいかと言えば、それはバッチリ、いま世界を騒がせている二大国のとんでもないボスたちですよ。あの二人ならしっかり咀嚼してくれるでしょうね。

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畑中しんぞう

コメントどうもありがとうございます。
これはテレビの料理番組などにありがちなやりとりを想定して、料理の中身だけ変な内容に入れ替えて作ったものです。
ちょっとでも面白いと感じて頂けましたらたいへん光栄です。
今後ともなにとぞよろしくお願い致します。

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