心が巨大な人

心が巨大な人

心が巨大な人

 
心が巨大な人は体も大きいから
自分を持て余していた
手足が大き過ぎるし
顔も大き過ぎる
声もいちいち大きいから
みんなにうるさがられる
 
心が巨大な人は貝殻を耳にあて
潮の音を聞こうとしたけど
耳が大き過ぎて聞こえやしない
石を拾って海に投げたら
水平線を越えて見えなくなった
 
心が巨大な人は体も大きいので
狭い路地裏は通れやしない
体がはさまってにっちもさっちっも
 
心が巨大な人は
市場で何か買おうとしても
邪魔にされるばかりだ
ポケットから小銭を出そうとすれば
ズボンがぱんぱんで出せやしない
 
心が巨大な人はほらあなに住み
毎日木を削っている
削り終わった木の先が尖って
洞窟の壁に並んでいる
洞窟の中は
尖った木ばかりだ
うっかり手を伸ばせば
ちくちくする
それでも心が巨大な人は
毎日木を削るのだ
 
心が巨大な人は虫が嫌いだ
体じゅうを虫が這い廻る
虫を叩こうとしても動きが遅いから
間に合ったことがない
それでも時々お尻の下で
不用意に虫がつぶれて
嫌な臭いがする
心が巨大な人は
自分に嫌な思いをさせるため
もしかするとこの世に
虫がいるのかもしれないと思っている
 
ほら
心が巨大な人が歌っている
なんだか音程の無い歌で
聞くに堪えないかもしれないけど
彼は確かに歌っている
心が巨大な人が
誰にも聞かれない歌を
今日も歌っている

心が巨大な人02

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