これは、文章の勉強会で1行あたり10文字、4行目の最後に丸、そのブロックを7つ書く、という縛りで書いたものです。
まどのないまち
まどのないまちがある
人は目にコインをはめ
てさぐりで歩いている
まどのないまちだから。
まどのないまちなので
総ての物に匂いがない
花が咲きまた散っても
気づく人は誰もいない。
窓のないまちの家族は
味のないスープを飲む
貝殻のだしを水に溶き
調味料には砂を振るう。
父さん今日のスープは
昨日と違う気がしない
母さん僕のスプーンは
いったいどこにあるの。
まちの人はてさぐりで
擦れ違う時挨拶を交す
でもおたがいの言葉が
ちっとも聞こえてない。
母さん妹が泣いている
蒲団が堅くて眠れない
父さん妹が血だらけだ
包帯が長くて終らない。
僕のまちには窓がない
人は目にコインをはめ
てさぐりで歩いている
まどのないまちだから。